観戦が楽しくなる自転車トラック競技の魅力

選手と観戦者の一体感で大興奮!
“見る”楽しさも最高な自転車トラック競技

長円形をした専用の競技場を舞台に、トラックレーサー(ピストバイク)と呼ばれる専用自転車を使って左回りの周回で競われる自転車トラック競技。一瞬で選手が通り過ぎてレース全体の流れをその場で知ることのできないロードレースとは異なり、トラック競技場内で選手たちが繰り広げる走り・戦略・駆け引きすべてを見ることができる点が魅力です。トラックを走る選手との距離感も近く、世界大会ともなると競技場内の選手と観戦者が一体となり、大きな盛り上がりを見せます!

カーブコーナーの角度は45度!!
まるで円形闘技場のようなダイナミックなトラック競技場

自転車トラック競技で走る競技場はバンクと呼ばれます。
日本においては333.3m、400m、500mの周長のバンクもありますが、オリンピックや世界選手権などは屋内型板張り250mバンクで実施されます。走路は木板・コンクリート・アスファルトなどで舗装。カーブでも速度を落とさず走れるように角度(カント)がつけられ、250mバンクでは角度が45度に達します。
日本チャンピオンを決める全日本選手権や、トラック競技を観戦できるフェス型サイクルイベント“TRACK PARTY in AUTUMN”(2018年10月13・14日)などが開催される「伊豆ベロドローム」は世界標準仕様である屋内型板張り250mバンクで、2020年の東京オリンピック・自転車トラック競技の会場にも使用されます。

世界で活躍!
日本トラック選手

自転車トラック競技の世界大会には、4年ごとに開催される「オリンピック」、「アジア競技大会」のほかに、毎年開催される「世界選手権自転車競技大会・トラックレース部門」(UCIトラック世界選手権)と、自転車トラック競技のシリーズ戦である「UCIトラックサイクリングワールドカップ」(UCIトラック・ワールドカップ)があります。
2018年のトラック世界選手権では河端朋之選手が「男子ケイリン」で銀メダル。さらに全5戦で開催された2017-2018シーズンのトラック・ワールドカップでは、第4戦で脇本雄太選手が「男子ケイリン」で優勝、梶原悠未選手が第3戦・第4戦「女子オムニアム」で2大会連続の優勝、第4戦で橋本英也選手が「男子オムニアム」で銀メダル、第4戦「男子チームパシュート」で銀メダル、第2戦と第4戦「女子チームパシュート」で銅メダルと日本人選手の活躍が続いています。

2017-18 UCIトラック・ワールドカップ出場の日本代表チームは、赤と白のウエアを着用。短距離ヘッドコーチにフランス、ロシア、中国ナショナルチームを強化してきたブノワ・ベトゥ氏を迎え、2020年の東京オリンピックでのメダル獲得を目指した活躍が期待されます。

河端朋之

河端朋之

1985年鳥取県生まれ。2012年全日本選手権で「スプリント」「ケイリン」「チームスプリント」優勝の3冠を達成。国内はもちろん海外の大会でも活躍し、アジア選手権では2015年「男子スプリント」金メダル、2017年「男子スプリント」銀メダル、2018年「男子ケイリン」金メダル・「チームスプリント 」銀メダルを獲得。2018年UCIトラック世界選手権「男子ケイリン」では日本男子として25年ぶりとなる銀メダルに輝いた。

脇本雄太

脇本雄太

1989年福井県生まれ。高校在学中から国体の自転車競技で活躍。2014年アジア選手権トラック「男子ケイリン」優勝、2016年UCIトラック世界選手権「男子ケイリン」5位入賞を果たす。また、2016年に年開催されたリオデジャネイロオリンピック「男子ケイリン」代表に選出された。さらに2017年UCIトラック・ワールドカップ第4戦「男子ケイリン」で優勝に輝いた。

梶原悠未

梶原悠未

1997年埼玉県生まれ。2014・2015年のジュニア世界選手権で多くの種目で好成績を残し、2017年にはUCIトラック・ワールドカップ第3戦「女子オムニアム」で金メダルを獲得。これは日本女子自転車競技選手として自転車競技全種目を通じてワールドカップでの初の金メダルとなる。さらに同第4戦「女子オムニアム」も優勝し、2大会連続2回目の金メダル獲得 。2018年もアジア選手権で3冠、全日本選手権で4冠を果たし、躍進中。

橋本英也

橋本英也

1993年岐阜県生まれ。2012年全日本選手権「男子個人追抜」優勝。2014年全日本選手権にて「男子4km個人追抜」「男子ポイントレース」「男子マディソン」「男子チームパシュート」優勝の4冠を達成。2014年と2018年アジア競技大会にて「男子オムニアム」で2大会連続の優勝。2016年と2018年はアジア選手権において「男子オムニアム」優勝を果たした。

男子チームパシュート

男子チームパシュート

2017年UCIトラック・ワールドカップ第4戦「男子チームパシュート」では、今村駿介・近谷 涼・一丸尚伍・沢田桂太郎の4選手が銀メダルに輝いた。

女子チームパシュート

女子チームパシュート

2017年UCIトラック・ワールドカップ第2戦と第4戦「女子チームパシュート」では、梶原 悠未・橋本優弥・古山稀絵・中村妃智・鈴木奈央が銅メダルに輝く活躍を見せた。

自転車トラック競技の楽しみ方図鑑

飯島 誠さん

アドバイス/“チーム ブリヂストン サイクリング”総監督
飯島 誠さん

2011年よりブリヂストンサイクル(株)に入社。現役時代はロードレースとトラックの両競技において日本のトップ選手として活躍し、シドニー・アテネ・北京オリンピック「自転車トラック競技・ポイントレース」の日本代表にも選出。引退後、2013年~2016年までナショナルチームの中距離ヘッドコーチを務め、2018年から“チーム ブリヂストン サイクリング”の総監督に就任。当チームには、アジア選手権やUCIトラック・ワールドカップなど世界で活躍する選手も多く所属している。

ブレーキがない!? 前進するためのスペシャルマシン
「トラックレーサー」

自転車トラック競技で使用されるトラックレーサー(ピストバイク)は、ドロップハンドルが装着され、一見するとロードバイクのような形状をしています。しかし、トラックレーサーには変速機とブレーキがなく、固定ギヤと呼ばれる後輪の回転とペダルの回転がつながっている機構になっています(※日本においては、ブレーキが装着しないと公道を走行することはできません)。

レースで使用できるトラックレーサーは部品も含めた自転車全体の総重量が6.8kg以上という規定があり、かつては鉄素材のフレームが中心でしたが、現在はフレームだけでなくハンドルやステムにもカーボン素材を使用しているモデルが主流となっています。フレームの形状も平らなトラック競技場だけを走ることのみを考えて、一般的なロードバイクよりもBB位置が高く、フォークの角度が立っている設計がされています。

ホイールはディスクタイプとバトンタイプを使用し、練習ではクリンチャータイヤを使用することもありますが、レースではほとんどチューブラータイヤが採用されています。装着するタイヤの太さは、練習では25Cの太めのタイヤを使っている選手もいますが、レースでは18~21Cや太くても23Cが使われています。

ハンドルは短距離競技で300~360mmと近年は幅が狭いものが主流、中距離競技でも最大400mm程度の幅が使用されることが多く、ロードバイクのようにステムにつながっているドロップハンドルの水平部分を握ることがないため、曲線のみの形状となっています。

最高速度が時速70km近いスピードを生み出すため、ギヤの歯数はロードバイクと比較してかなり重い(大きい)ものが装着されています。ペダルはロードレースと同じビンディングペダルを使用していますが、短距離競技の選手の場合、さらに固定力を高めるためにビンディングとベルトの2つで固定することもあります。

ロード選手がトラックトレーニングすればペダリングがキレイになる!

「レースだけでなく、ロードバイクでロングライドやヒルクライムに挑戦しようとする人にもトラックレーサーを使ってトレーニングすることはおすすめです」と話す飯島さん。ただし「トラックレーサーにブレーキを装着しても、一般的なロードバイクのような距離で停車することは難しいので、トラックレーサーでトレーニングする場合は3本ローラーを使って室内で集中してトレーニングしましょう」とアドバイス。トラックレーサーで3本ローラーに乗ることで鍛えられる自転車に乗るバランス感覚と、固定ギヤによって自然と身に付くスムーズなペダリングは、他の自転車競技をする際にも大きなメリットになります。

トラック競技観戦が楽しくなるルール解説

短距離

ケイリン

ケイリン

日本で誕生した「競輪」から発展し、現在では国際種目「KEIRIN」として世界選手権やオリンピック種目に採用。最大7名、距離は約1500mで競われる。スタートして最初はペースメーカーとして電動アシスト自転車が選手の前を走り、時速約30kmから徐々にスピードを上げ、時速約50kmになったフィニッシュ前約750mでペースメーカーが退避。ペースメーカーが前を走っている間のポジションをキープするための駆け引きと、最後まで誰が勝つのか分からない、スリリングな戦いが見どころ。

スプリント

スプリント

予選は、助走をつけてスタートする200mタイムトライアル。本戦からは1対1で先着を争うトーナメント形式となり、決勝の直接対決を制した者が優勝者となる。最初の半周はイン(内側)からスタートした選手が先行(先を走る)しなければならないが、先行すると風よけに利用されて動きも読まれやすいため、フィニッシュ前約200mまでは相手を先行させようと、止まっているような低速まで速度を落とすなど牽制し合う駆け引きが繰り広げられる。勝負どころのフルパワーでのゴールプリントは迫力満点。

チームスプリント

チームスプリント

1チーム男子3名・女子2名が1列で走行し、男子3周・女子2周で競われるタイムトライアルレース。1周ごとに先頭を引いた選手がチームから離れ、最後の1人がゴールしたタイムが計測される。

タイムトライアル

タイムトライアル

スタンディング・スタートの個人タイムトライアル。男子は1km、女子は500mの距離を1人で走行し、純粋に速さを競い合うスピード種目。トップ選手では平均時速60km程度の高速を持続して走行する。

中距離

マディソン

マディソン

2選手がペアを組み、交代しながらポイントレースを行う種目。走路の上部エリアと下部エリアを上手く利用し、下部エリアでハイスピードのレースが展開される中、上部エリアはペアの選手がペースを落とし周回しながら待機する。選手交代時は、ペアの選手の身体に触れなければならない。待機するペア選手も含め40人程度の選手がバンク内を走行する中、巧みに交代するチームテクニックと戦略が見どころ。世界選手権は、250mバンクを200周(距離50km)で競われる。

オムニアム

オムニアム

1日で①スクラッチ、②テンポレース、③エリミネーション、④ポイントレースの順に4種目を行い、スクラッチ、テンポレース、エリミネーションは、1位40ポイント・2位38ポイント・3位36ポイントと一つ順位が落ちるごとに2ポイント差で配点(21位以下は全員1点)された得点が与えられる。

ポイントレースでは、選手は3種目で得た得点(ポイント)を持ってスタートし、ポイントレース中に獲得したポイントを加算し、最終合計ポイントの最多獲得者が優勝者となる。

①スクラッチ/一斉にスタートし、男子10km・女子7.5kmを走ってゴールの着順を競う
②テンポレース/男子10km・女子7.5kmを走り、5周目以降、毎周回1位通過の選手に1点が与えられ、ポイント合計で順位を決定(メイン集団を周回遅れにした選手には20点が加算)
③エリミネーション/男子25km・女子20kmを走り、2周回ごとに最終選手が除外されていき、最後の2名になるまで走って順位ごとにポイントが与えられる。
④ポイントレース/男子25km・女子20kmで競われる。競技詳細は下記参照。

チームパシュート

チームパシュート

4名1組の2チームが、ホームストレッチとバックストレッチに分かれて同時にスタートし、バンク反対側から走り始めた対戦チームを追い抜く団体追い抜き種目。チームは空気抵抗による疲労とペースダウンを軽減するため先頭を交代しながら走り、3番手の選手の前輪が4kmのラインを通過したタイムで計測される。

個人パシュート

個人パシュート

2名の選手がバンクのホームストレッチとバックストレッチに分かれて同時にスタートし、バンク反対側から走り始めた対戦選手を追い抜くレース。個人追い抜きとも呼ばれる。追いつかない場合は、男子4km・女子3km・男子ジュニア3km・女子ジュニア2kmの距離を完走したときのタイムで競われる。

スクラッチ

スクラッチ

複数の選手が同時に走り、設定された距離を走り切った順位で競い合う個人種目。「トラック競技のロードレース」と言われることもあるが、急な加減速が難しいトラックでは、全体の流れを読んだ速度調整と戦略が見どころとなる。

ポイントレース

ポイントレース

複数の選手が同時に走り、指定の周回数での着順で1位5点・2位3点・3位2点・4位1点、ゴール時の着順ではその倍の得点が与えられ、多くの得点(ポイント)を獲得した選手が勝利する種目。メイン集団を周回遅れにした選手には20点が加算され、得点合計が同じ場合は、ゴール時の着順で勝敗が決まる。

サイクルモード インターナショナル2018でトラック競技の魅力を体感!
「More CADENCEブース」 終了しました

世界で戦うトラック競技選手を掲載したMore CADENCE photo collectionをゲットしよう

「サイクルモード インターナショナル2018」には、トラック競技の魅力を体感できる「More CADENCEブース」が登場! ブースを訪れ、ゲームに参加して、世界で戦うトラック選手の写真集“More CADENCE photo collection”をゲットしよう!

※More CADENCE photo collectionのデザインは、変更となる場合があります。
※More CADENCE photo collectionの数に限りがありますので、お早めにブースにお越しください。

ガールズケイリンをVR(バーチャルリアリティ)で体感

ブース内では、ガールズケイリンをVR(バーチャル リアリティ)で体験できるコーナーがあります。バーチャル リアリティの世界で、世界標準仕様の屋内型板張り250mトラックである「伊豆ベロドローム」を走った感覚とガールズケイリン選手との対戦を楽しみましょう♪

ガールズケイリンなどのオリジナルグッズプレゼント!
競輪1着当てクイズ

ガールズケイリンなどのレースをモニターに写して1着になる選手を当てるクイズ大会をブースで開催します。1着になる選手を当てると、ガールズケイリンなどのオリジナルグッズのプレゼントもあり、これまで競輪を見たことがない人も楽しめます。

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